2019/05/10

専業主婦が成立する理由は人口比が多いなど単一の原因ではない

(東京の方が田舎より専業主婦率が高いと考えると、専業主婦がなぜ成立するのかがわかるというツイートへ)
1.東京より奈良、和歌山、千葉、大阪、神奈川、兵庫、埼玉、北海道などの方が共働き夫婦が少ない。したがって田舎の方が共働きが多いとはいえない。
2.最も共稼ぎ夫婦が少なく、専業主婦が最も多いのは奈良であり、大阪のベッドタウンではあるが、GDP、人口密度、何れの点でも都会とはいいがたい。
資料1(都道府県別の共稼ぎ夫婦の比率、総務省統計局「就業構造基本調査」)資料2(都道府県別県内総生産、内閣府(国民経済計算))資料3(都道府県別県民所得、内閣府(国民経済計算)資料4(都道府県別人口密度、国勢調査)
以上のデータから、共働き夫婦の少なさと専業主婦の多さは都会度(商業都市化、人口過密)に正相関していないといえるのではないか? 実際、一人当たりGDPで最下位の奈良や、人口密度で最下位の北海道の、共働き夫婦の比率は低く、専業主婦も多い(奈良が最多)。厳密に言うと、奈良は人口密度は14位なので、平均よりは都市化されているといえるが、それより人口密度の高い都道府県の方が、共働き夫婦の割合が多く、専業主婦は少ない。また一人当たり県民所得の数値を見れば分かるが、都市化(人口密度)の度合いと厳密に相関していない(大阪、神奈川等は順位が低い)。高付加価値産業が存在しているかの方が、人口密度より重要な要素だからだろう。都会・田舎の二分法で家計のゆとりをはかることはできない。しかも、1世帯あたり貯蓄額の比率をみると、北海道や沖縄など共働き夫婦の比率が低く、専業主婦が多い地域の貯蓄は極めて少なくなっている(貯蓄額が沖縄は最下位、北海道は45位)。即ち家計のゆとりと共働き夫婦・専業主婦の割合にも相関関係があるとは容易にいいがたい。
 以上の考察から、「東京に専業主婦が多く共働き夫婦が少ない」という貴方の前提には誤りがみいだせる(奈良など、より田舎といえるだろう地域の方がその傾向が強い)のに加え、仮に家計のゆとりを根拠にしているとすれば、それ自体と専業主婦の多さや共働き夫婦の少なさにも相関性がみいだせない。
 私の推測では、各地域のもつ文化的傾向と何らかの関係があって、共働き夫婦・専業主婦の比率が一つの指標と相関していない複雑な分布を持つのであり、都市近郊、所得が高い、貯蓄額が高い、商業都市など、単一の別の指標とは擬似相関の関係しかないだろうし、それぞれ別の事象ではないか?
「都会の方が金持ちが多いだろう、特に東京がそうだろう、よって東京に専業主婦が多いに違いない」という偏見は基本的に現実の姿ではない。先ずこれは所得中央値や物価・地価の議論を無視していて一般的な暮らし向きを意味しないからだが、更には専業主婦率は家計の余裕度とも関係なさそうだからだ。
「貧しいから共働きをするに違いない、故に共働きは田舎に多いだろう」これも2つの意味で間違っている。貯蓄が少ない地域でも専業主婦が多い場合があり、田舎の方が所得や貯蓄額が高いこともあるからだ。
 よって、「なぜ専業主婦が成立するか」という貴方の提出している主題については、私が上記の資料を調べまた推論した限りでは東京を含め都鄙の質や家計の余裕と相関しておらず、私には現時点ではよく分からない。曖昧にされているが貴方が知っているなら、できれば科学的根拠と共に投稿して頂きたい。上に書いたことは目視して判断しているので相関係数を計算してないけど、もしかしたらきちんと計算すればいずれかの部分に何らかの相関があるかもしれないので、その場合は偽になります。

 (最初のツイートをした同一人物による、「奈良県を都合よく使うな」「人口と専業主婦世帯率の相関は.722」等の返信へ)
 .722というのはどこに出ている数値ですか?
 貴方の出している「都道府県別統計とランキングで見る県民性」の「共働き率」でも示されていますが、別の指標で厳密にみれば、人口と無関係に、共働き率が低い都道府県がありますよね。いいかえれば「郊外」が多い地域にその傾向がある。
「奈良を都合よく使うな」とはどういう意味ですか? 上述の資料に見られるとおり、総務省統計局「就業構造基本調査」(2017年)において、奈良県が最も共働き夫婦の比率が低いと社会実情データ図録のサイトに出ているだけの話です。人口と共働き夫婦の比率に厳密な正相関があるとどう判断しました? 既に統計局の2017年のデータにおいては、奈良、大阪、千葉、神奈川、北海道、和歌山などは人口が東京以下にもかかわらず、共働き比率が低いことが示されていますよね。つまり人口・共働き比率の低さに正相関があり、それが唯一の共働きの多寡の根拠だとすることはできない。そうですよね? 実際の所、昼間人口等も省みれば、人口比と共働き比率に一定の相関がある可能性も考えられるわけですが、それが即ち「東京が共働き率が低い」とはいえませんよ。現に上述のデータにおいては違うのですからね。
 もっというと、大都市の郊外に住んでいる、人口の少ない自治体があるということです。北海道、奈良や沖縄などは共働き比率が非常に低いけれども、都市部を内部または周縁に抱えています。2017年まで5年間の共働き夫婦の比率上昇率をみると、寧ろ大都市部・その周縁部にこの傾向があります(資料1(都道府県別の共稼ぎ夫婦の比率、総務省統計局「就業構造基本調査」))。つまり人口比というより、地域の都市化が共働きを増やしているといえます。更に詳しく言えば、2017年までの5年間、共働きの多寡と、その数の上昇率とには逆相関の関係がありました(元々共働き比率が少ない地域に共働きがより増えた)。いいかえれば大都市部とその郊外を抱えている自治体に、共働きが増えたということになります。格差拡大で専業主婦が不可能になったのでは?
 資料1(都道府県別の共稼ぎ夫婦の比率、総務省統計局「就業構造基本調査」)によく注目して頂きたいのですけれども、東京より埼玉、千葉、神奈川、また京都より大阪、奈良、和歌山、兵庫の方が共働き率が低いと総務省が示していると。ベッドタウン部に該当する場所にこの傾向があるといえるのではないでしょうか。平成22年国勢調査の昼夜間人口比率によると、上述のベッドタウン部に該当する場所では夜間人口が昼間人口を大きく上回る。いいかえれば奈良含めただの人口比でははかりきれない意味で、大都市部の周縁部に共働き主婦が多くなる傾向があるのはこれが一つの原因ではないですか?
 少なくとも上述の総務省統計局の幾つかの資料が正確なら、専業主婦の多さには幾つかの原因が考えられるとしても、その第一の指標が人口だとはいいがたいでしょう。もしいえるとしても大雑把な指標にすぎず、都心よりベッドタウンの方が専業主婦が多いのです。
 恐らく貴方は「都心部の企業で高給を得ている家計では専業主婦が成立するが、兼業農家等ではそれ以下の給与の筈なので専業主婦が成立しない」と仮説づけたいのでしょうが、平均年収は農家456万円、会社員432万円でほぼ変わらない(農水省・農業経営統計調査2014、国税庁・民間給与実態統計調査2017)。また雑誌プレジテント(2015.12.5)の資料に過ぎませんが、上場企業の会社員平均年収576万円(426万人)、農家765万円(368万8400人)とされていて、寧ろ農家の年収の方が高い可能性もあります。即ち、物価地価Engel係数なども都会の方が高く、家計のゆとりは都会人の方があるとはいえないのです。専業主婦になる家庭は都会の方が多い(そして家計のゆとりに依存している)、この論理には矛盾があるとしても、上述全ての資料を省みると、少なくともベッドタウン部に専業主婦が多いはいえると思います。しかしその原因が家計のゆとりではないことが、県民所得や貯蓄額等で証明できるでしょう。
 それと、わざわざ言うまでもないとは思いますが、統計は所詮統計に過ぎず、調査自体も単なる抽出でその途中の手続きも単なる有意差を見出せる(それが正しいとは限らない)程度の作業で、現実を含む真理自体ではありません。つまりただの参考資料です。なので、統計で現実はかくありと断言できません。
 私が問うたのは、「東京に専業主婦が多くて、田舎で共働きが多い」という貴方の意見には総務省統計において矛盾が明らか(より人口比の少ない地域の方が専業主婦が多い)な以上、厳密に言えず、ベッドタウン部に多いとはいえるにせよ、「専業主婦がなぜ成立するのか」の理由は不明だということです。「専業主婦がなぜ成立するのか」の理由は結局、なんだったのですか? 貴方の前提にしていた意見自体が誤りだった以上、それを前提とした推論にも誤りがあることは明らかですし、勿論のこと、私にはその原因はわかりませんけど。だから問うたのです。奈良がどうとか、私の質問と何の関係もないですよ。貴方ははじめのツイートで、「(~を考えると(この~部分は誤りを含んだ認識だと私は上記のツイートで述べましたが))、専業主婦がなぜ成立するのかがわかると思います。」といっている。「奈良県を都合よく使うな」が専業主婦がなぜ成立するかの理由ですか?
 私がなぜこの一連のツイートをしたかというと、私自身、なぜ専業主婦が成立するかの理由を厳密に知らないので、タイムライン上に流れてきた貴方の意見に興味を持ち、またその前提としている文節には既存の知識の範囲で誤りがみいだせたので、指摘してみたに過ぎません。恐らくですが、「都道府県別統計とランキングで見る県民性、共働き率」のページに書いてあるごく大雑把な推論を貴方は自見として採用してるのかもしれませんけど、既にあげた様これは大いに誤りを含む記述です。都鄙の度合いに多少の相関性があるとしても、郊外がある限り、厳密ではないですからね。
>分布地図を見ると都市部で共働き率が低く、地方で共働き率が高い。言い換えると都会ほど専業主婦が多いという結果になっている
矛盾する点
1.東京より神奈川、千葉、埼玉の方が、京都より大阪、奈良、和歌山、兵庫の方が共働きが少ない
2.北海道や沖縄も共働きが少ない
このサイトの記述を総務省統計を参考により正確にいいかえると、
「分布地図を見ると大都市のベッドタウン部で共働き率が低く、日本海側で共働き率が高い。但し北海道や沖縄など例外も見出せる。言い換えると昼間時に都会に働きに出ている地域で専業主婦が多くなる傾向があるが、地域差もありそうだ」

※このブログURLは2019年6月8日に
https://yuusukesuzuki.blogspot.com/
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